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2020年7月9日 (木)
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2030年までに2~4剤の新規抗菌薬を患者さんにお届けし、必要な長期政策を促進することを目指す

ジュネーブ--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ)--本日、20社以上の大手バイオ製薬企業は薬剤耐性(AMR)アクションファンド[www.AMRactionfund.com]を設立したことを発表しました。本ファンドは、2030年までに新規抗菌薬を2~4剤製品化し、患者さんにお届けすることを目指す画期的な取り組みです。薬剤耐性感染症(薬剤耐性、[AMR: Antimicrobial Resistance])の急増により、新規抗菌薬の創製が急務です。今回参画の企業は、最も耐性が強い細菌や、生命を脅かす感染症に対する革新的な抗菌薬の臨床研究を支援するために、総額で10億米ドルの投資を行います。そして、本ファンドを通じ、慈善団体・開発銀行・国際機関と協力し、抗菌薬の開発を強化・加速します。公衆衛生上の緊急ニーズに特化した本ファンドは、研究開発に必要な財源に加え、バイオテクノロジー企業が新規抗菌薬を患者さんにお届けする上で必要な技術支援を行います。


薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドは、研究開発型製薬業界を代表する国際組織である国際製薬団体連合会(IFPMA)のイニシアチブであり、ドイツ(ベルリン)と米国(ワシントンDC)で、オンライン形式で同時に設立イベントが開催され、概要が発表されました。また、東京では7月10日に設立イベントが開催されます。

AMRという迫りくる世界的な脅威は、死亡者数および経済的コストの点において、新型コロナウイルス感染症による被害をも圧倒する可能性があります。悲劇的にも、新型コロナウイルス感染症による死亡者数は増加し続けていますが、AMRに起因する死亡者数は年間70万人に上ります。このまま対策が何も取られなければ、2050年までに全世界で年間1,000万人もの命がAMRによって奪われると推定されています。

本新ファンドの設立団体の一員であるIFPMAのトーマス・クエニ事務局長は、次のように述べています。「AMRは、新型コロナウイルス感染症と比べ、予測可能であり、防ぐことができる危機です。私たちは協力して、パイプラインを再構築し、研究所で生み出される最も有望で革新的な抗菌薬を確実に患者さんに届くようにしなければなりません。薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドは、世界的な公衆衛生上の脅威に対応するための製薬業界による協業イニシアチブとして、これまでで最も大規模で意欲的な取り組みのひとつです。」

世界は新しい抗菌薬を緊急に必要としていますが、現在、十分な開発パイプラインがないことが課題です。これは、AMRが社会に甚大な被害をもたらすにもかかわらず、新規抗菌薬には持続的な収益が見込めず事業として成り立たないという長年のパラドックスを解決できていないことによります。新しい抗菌薬は、有効性を維持するために使用量を控えるため、近年、抗菌薬に特化した多くのバイオテクノロジー企業が破産申請をするか、持続的な収益が見込めないためにこの分野から撤退し、結果として有益な専門能力と資源が失われています。よって現状では、新しい抗菌薬に対する公衆衛生上の巨大なニーズが存在する一方、抗菌薬の研究開発に必要な資金、特に後期臨床研究段階で使用できる資金が不足しています。そのため、創薬と患者アクセスとの間に「死の谷」が生まれています。

イーライリリーの会長兼最高経営責任者(CEO)でIFPMA会長のデイビッド・リックスは、次のように述べています。「製薬業界は薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドを通して10億米ドル近くを投資し、抗菌薬パイプライン中の新薬候補が、最も難関とされる新薬開発の後期段階に進められるよう支援します。これは、政府に、持続的な抗菌薬パイプラインの実現に必要な改革を行うための時間を提供することにもつながります。」

本ファンドの設立はAMR問題に対応する上で重要な前進ですが、世界各国の政策立案者には、抗菌薬市場を活性化して、抗菌薬への研究開発投資を持続可能とするため、診療報酬の改定や新たな奨励金制度を含め、市場ベースの改革を実行に移し、推進していくことが求められています。それまでの間、バイオ製薬業界は現在ある抗菌薬パイプラインを支える活動に取り組みます。

大手バイオ製薬企業からの投資により、AMRに対応するために創出された共同ベンチャー事業として史上最大規模となる薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドは、以下の活動を行います。

  • 公衆衛生上の最優先のニーズに対応し、臨床現場での治療を大きく変え、命を救う革新的な抗菌薬の開発に傾注する小規模なバイオテクノロジー企業に投資する。
  • 投資先企業に技術的な支援を行い、それら企業に大手バイオ製薬企業が持つ深い専門知識と資源へのアクセスを提供することで、研究開発を強化するとともに、抗菌薬へのアクセスと適切使用を支援する。
  • 業界と、慈善団体・開発銀行・国際機関を含む業界外の関係団体との広範な連合体を主導し、抗菌薬パイプラインへの持続可能な投資を実現するための市場環境を創出するよう各国政府に促す。

薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドは、今後の提携先による支援を得て10億米ドル以上をポートフォリオを組んで投資することで、抗菌薬開発の資金調達における資金不足に対処できると期待しています。本ファンドは、2020年第4四半期中に運用が開始される見込みです。

薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドの詳細については、www.AMRactionfund.comをご覧ください。

薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドへの支持メッセージ

AMRは、ゆるやかな津波のようなもので、1世紀にわたる医学の進歩を元に戻してしまう恐れがあります。緊急に必要とされる抗菌薬の開発における民間部門によるこの新たな取り組みを大いに歓迎します。WHOは、薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドと協力し、この公衆衛生上の危機に対応するための研究を促進していきたいと思います。」(テドロス・アダノム・ゲブレイェソス博士、世界保健機関(WHO)事務局長

「耐性菌の拡大に対応するには新しい抗菌薬が必要です。欧州投資銀行(EIB)は、市場メカニズムが上手く働いていない市場に対し、革新的な金融商品によって積極的に支援を提供していますが、薬剤耐性の問題は明らかにこうした市場の一例です。今こそ製薬業界、慈善資金提供者、多国籍開発銀行、世界保健機関を含む官民が力を合わせ、この脅威に立ち向かうべき時です。」

公衆衛生の問題に対し、このような影響力の強いファンドの設立を支援することは、医療分野におけるEIBの重要な使命に沿ったものであり、私たちは創設者として参加できて光栄です。」(ワーナー・ホイヤー、欧州投資銀行(EIB)総裁

薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドを支援するバイオ製薬企業および財団

アルミラール、アムジェン、バイエル、ベーリンガーインゲルハイム、中外製薬、第一三共、エーザイ、イーライリリー・アンド・カンパニー、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、レオ ファーマ、ルンドベック、メナリーニ、メルク、MSD、ノバルティス、ノボ ノルディスク、ノボ ノルディスク財団、ファイザー、ロシュ、シオノギ製薬、武田薬品、テバ、ユーシービー

薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドについて

薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドは、20社以上の大手バイオ製薬企業によるイニシアチブであり、2030年までに2~4剤の新規の抗菌薬を製品化することを目的に、10億米ドル近くの投資を行います。投資対象は、革新的な抗菌薬の開発に取り組んでいる小規模の企業です。当ファンドは研究機関や慈善団体・開発銀行・国際組織との提携関係を築き、抗菌薬の開発を強化・加速します。また各国政府と協力し、スーパー耐性菌と戦うための新しい抗菌薬のパイプラインを継続して確保していきます。

薬剤耐性菌(AMR)アクションファンドの構想は、IFPMAとバイオファーマシューティカル・CEO・ラウンドテーブル(BCR)、バイオ製薬企業、財団が、世界保健機関(WHO)、欧州投資銀行(EIB)、ウェルカム・トラストと連携して打ち出したものです。

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。


Contacts

Abigail Jones, Communications Director, IFPMA
a.jones@ifpma.org
+32 475 41 09 76

Silas Holland, Interim Director of External Affairs, AMR Action Fund
silas.holland@amractionfund.com
+1 202 329 0936

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