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2021年2月1日 (月)
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  • 経口標的治療薬のモボセルチニブは、客観的奏功率が治験責任医師の判定で35%、独立判定委員会(IRC)の判定で28%が確認され、臨床的に意義のある奏功を実証
  • IRCの判定による奏功期間の中間値は17.5カ月で、モボセルチニブの持続的奏功を示す
  • 結果は承認された標的治療薬が存在しない患者集団にとって励みとなる前進

米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(「武田薬品」)は本日、シンガポール時間1月29日(金曜)に開催される国際肺がん学会(IASLC)2020年度世界肺がん学会議(WCLC)の最新演題オーラルセッションにて、治療歴を有する上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異陽性転移性非小細胞肺がん(mNSCLC)患者を対象としたモボセルチニブ(TAK-788)経口投与の第1/2相試験の新データを公表すると発表しました。


ダナファーバーがん研究所のPasi A. Jänne博士(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べています。「本試験の結果は、プラチナ製剤ベースの治療歴を有するEGFRエクソン20挿入変異陽性mNSCLC患者さんで、臨床的に意義のある奏功と顕著な奏功期間が得られたことを示しています。これらのデータは有望なものであり、標的療法の選択肢を緊急に必要としているEGFRエクソン20挿入変異陽性mNSCLC患者さんにとって、モボセルチニブが経口治療薬となり得ることを示すさらなる証拠となります。」

プラチナ製剤による治療歴を有する患者の解析には、プラチナ製剤による前治療を受けたEGFRエクソン20挿入変異陽性mNSCLC患者を第1/2相試験から組み入れました。すべての患者に160 mgを1日1回経口投与しており、この患者集団から得られた主な知見は以下の通りです。

パラメーター

プラチナ製剤による治療歴を有する患者(N=114)における結果

治験責任医師の判定による客観的奏功率(ORR)

35%(40/114人、95%信頼区間26-45)

独立判定員会(IRC)の判定によるORR

28%(32/114人、95%信頼区間20-37)

IRCの判定による奏功期間(DoR)の中央値

17.5カ月(95%信頼区間7.4-20.3)

IRCの判定による無増悪生存期間(PFS)の中央値

7.3カ月(95%信頼区間5.5-9.2)

IRCの判定による病勢コントロール率(DCR)

78%(89/114人、95%信頼区間69-85)

安全性プロファイルは管理可能なものでした。5月のカットオフ時からのデータで、プラチナ製剤による治療歴を有する患者で最も多く発現した治療関連有害事象(TRAE、20%以上)は、下痢(90%)、発疹(45%)、爪囲炎(34%)、悪心(32%)、食欲不振(32%)、皮膚乾燥(30%)、嘔吐(30%)でした。グレード3以上のTRAE(5%以上)は下痢(21%)でした。19人(17%)の患者が有害事象を理由に投与を中止しましたが、それら有害事象で最も多かったのは下痢(4%)と悪心(4%)でした。11月のデータカットオフ時からの安全性プロファイルは、5月のデータカットオフ時のものと一致していました。

武田薬品Oncology Therapeutic Area Unitのヘッドを務めるクリストファー・アーレントは、次のように述べています。「EGFRエクソン20挿入変異陽性mNSCLCは複雑かつ重篤な疾患でありながらも承認された標的治療がなく、既存の治療選択肢では効果が限定され、患者さんの生存転帰は不良である場合が多いため、本疾患の患者さんのために研究を前進させることの重要性は誇張しすぎることがありません。本疾患を選択的に標的とするように設計した初の経口治療薬であるモボセルチニブでこのような良好な結果が得られたことを当社は誇りに思います。米国食品医薬品局(FDA)やその他の世界各国の規制当局に対し、プラチナ製剤による治療歴を有する患者集団の解析データを提出できることを心待ちにしています。」

モボセルチニブは現在、EGFRエクソン20挿入変異陽性mNSCLCの治療薬としては承認されていません。.

武田薬品は米国東部時間1月29日(金曜)午後5時00分に、アナリストおよび投資家向けの説明会を開催し、これらのデータおよびモボセルチニブプログラムについて説明します。詳細についてはTakedaRandDEvents@fticonsulting.comへお問い合わせください。プレゼンテーションのスライドやウェブキャストのアーカイブは、https://www.takeda.com/investors/reports/ir-events/でご確認・視聴いただけるようにします。

第1/2相試験について

第1/2相試験の目的は、非小細胞肺がん(NSCLC)患者に経口投与したモボセルチニブの安全性、薬物動態、抗腫瘍活性を評価することです。本試験は、単剤療法および化学療法との併用療法としてのモボセルチニブを評価する第1相用量漸増試験と、7種類のコホートとさらには延長コホートを対象とし、さまざまな試験集団でモボセルチニブの抗腫瘍活性を究明する第2相試験拡大相から構成されています。

プラチナ製剤による治療歴を有する患者集団の解析では、第1/2相試験の用量漸増相および拡大相から、プラチナ製剤ベースの治療歴を有し、モボセルチニブ160 mgを1日1回投与した上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異陽性NSCLC(mNSCLC)患者114人を対象に検討しました。

EXCLAIMとして知られる第2相延長コホートでは、治療歴を有し、モボセルチニブ160 mgを1日1回投与したEGFRエクソン20挿入変異陽性mNSCLC患者96人を対象に検討しました。

モボセルチニブ(TAK-788)について

経口治療薬のモボセルチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう特別設計した強力な低分子チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)です。米国FDAは2019年、エクソン20挿入変異などのヒトのEGFR 2(HER2)変異あるいはEGFR変異を伴う肺がんの治療薬として、モボセルチニブを希少疾病治療薬に指定しました。モボセルチニブは2020年4月、EGFRエクソン20挿入変異陽性転移性非小細胞肺がん(mNSCLC)患者で、プラチナ製剤による化学療法を実施中か実施後に病勢が進行した患者に対するブレークスルーセラピーの指定をFDAより受けました。モボセルチニブは2020年10月、同適応症に対するブレークスルーセラピーの指定を中国の医薬品審査評価センター(CDE)から受けました。

エクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)について

NSCLCは肺がんの最も一般的な形態であり、世界保健機関によれば、世界中で毎年診断される推定180万人の新規肺がん症例の約85パーセントを占めています1,2。EGFRエクソン20挿入変異を伴う患者さんは、NSCLC患者さんのわずか約1~2%しか占めていません3,4。現在、エクソン20挿入変異に対するFDA承認済みの治療薬は存在しておらず、これらの患者さんに対する現在のEGFR TKIおよび化学療法の効果は限定的であるため、この疾患は他のEGFR変異を伴う疾患よりも予後が不良となっています。

武田薬品は、EGFRエクソン20挿入変異陽性mNSCLCの継続的な研究開発に傾倒しており、世界中で毎年本疾患と診断される約3万人の患者さんに対する標的治療の選択肢を導入することを目指しています3,4

武田薬品のオンコロジー領域に対する取り組み

当社の研究開発上の中核的使命は、科学に対する傾倒、画期的イノベーション、患者の生活改善への熱意を通じ、世界中のがん患者に新規医薬品を届けることです。当社の血液疾患治療薬、充実したパイプライン、固形腫瘍治療薬のいずれにおいても、当社は患者に必要な治療を届けるべく、革新的であるとともに競争力のある立場の保持を目指しています。詳細情報についてはwww.takedaoncology.comをご覧ください。

武田薬品工業株式会社について

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。

詳細情報についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。

留意事項

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1 World Health Organization. Latest Global Cancer Data. https://www.who.int/cancer/PRGlobocanFinal.pdf. Accessed May 11, 2019.(世界保健機関、世界の最新がんデータ)

2 American Cancer Society. What is Non-Small Cell Lung Cancer? https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/what-is-non-small-cell-lung-cancer.html.(米国がん協会、「非小細胞肺がんとは何か」)

3 Riess, Jonathan W. Diverse EGFR Exon 20 Insertions and Co-Occurring Molecular Alterations Identified by Comprehensive Genomic Profiling of NSCLC. https://www.jto.org/article/S1556-0864(18)30770-6/fulltext. Accessed April 7, 2020.

4 Fang, Wenfeng. BMC Cancer. EGFR exon 20 insertion mutations and response to osimertinib in non-small-cell lung cancer. https://bmccancer.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12885-019-5820-0. Accessed April 7, 2020.

5 Kobayashi Y, Mitsudomi T. Not all epidermal growth factor receptor mutations in lung cancer are created equal: Perspectives for individualized treatment strategy. Cancer Sci. 2016;107(9):1179-1186. doi:10.1111/cas.12996

6 Yatabe Y, Kerr KM, Utomo A, et al. EGFR mutation testing practices within the Asia Pacific region: results of a multicenter diagnostic survey. J Thorac Oncol. 2015;10(3):438-445. doi:10.1097/JTO.0000000000000422

7 Kris MG, Johnson BE, Berry LD, et al. Using multiplexed assays of oncogenic drivers in lung cancers to select targeted drugs. JAMA. 2014;311(19):1998-2006. doi:10.1001/jama.2014.3741

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