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2019年11月10日 (日)
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- ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌が武田薬品のデング熱ワクチン候補を検討中の第3相試験における主要評価項目の解析結果を掲載



- ラテンアメリカおよびアジアのデング熱流行地域に住む被験者2万人以上が、3カ月間隔でデング熱ワクチン候補ないしプラセボの2回接種を受ける

- ウイルス学的に確認されたデング熱感染に対する全体的なワクチン有効率は80.2%(2回目の接種以降、12カ月間追跡)、副次評価項目の探索的解析ではベースライン時に血清反応が陽性の場合で82.2%、陰性の場合で74.9%の有効率を示し、忍容性は全体的に良好でこれまでのところ重大な安全性リスクは観察されていない

- 有効性の副次評価項目の正式な評価(2回目の接種以降、18カ月間追跡)は年内に発表予定で、全体で4年半にわたり有効性および安全性を評価

米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(「武田薬品」)は本日、当社のデング熱ワクチン候補(TAK-003)を検討中のピボタル第3相 TIDES試験(デング熱に対する4価ワクチン予防接種の有効性試験)について、主要評価項目の解析結果がニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に掲載されたと発表しました。武田薬品のデング熱ワクチン候補は、4~16歳の小児・若年層において、主要評価項目としてのウイルス学的に確認されたデング熱感染(VCD)に対する予防効果を示しました。TAK-003の初回接種3カ月後に2回目を接種して以降の12カ月間において、ワクチン有効率(VE)は80.2%(95%信頼区間[CI]:73.3%~85.3%、p<0.001)でした。また、副次評価項目として計画していた探索的解析では、デングウイルス感染歴のある被験者と感染歴のない被験者で同程度の予防効果が示されました(VEはそれぞれ、82.2%(95% CI:74.5%~87.6%)と74.9%(95% CI:57.0%~85.4%))。その他の探索的解析では、デング熱による入院が95.4%減少したことが示されています(95% CI:88.4%~98.2%)。重症感染例に対する有効性については、症例数が限られていたため評価不能でした。予防効果はTAK-003の初回接種から見られ、初回と2回目の間におけるVEは81%(95% CI:64.1%~90.0%)でした。

武田薬品のデング熱ワクチン候補は全体的に忍容性が良好であり、重大な安全性リスクはこれまで報告されていません。観察された安全性プロファイルは、TAK-003の先行研究と一致していました1,2,3,4。TIDES試験は全体で4年半にわたり、被験者の間における安全性と有効性の評価を継続します。

ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン掲載論文の筆頭著者であるHumberto Reynales博士(M.D., Ph.D.)は、次のように述べています。「この初回解析結果は非常に励みになるもので、このワクチンがデング熱とそれに伴う入院に対して重要な公衆衛生上の利益をもたらし得ることを示しています。本ワクチンの長期的な有効性と安全性を評価するため、時間をかけて試験結果をさらに解析することが重要となります。より長期間の追跡データによって今回観察した初期結果が確認されれば、デング熱との世界的な闘いでの大きな前進となります。」

国際ワクチン研究所のシニアアドバイザーを務めるIn-Kyu Yoon氏(M.D.)は、次のように述べています。「世界保健機関によればデング熱は世界の保健に対する10大脅威の1つであり、流行地域においてデング熱の壊滅的な影響を低減できるよう、安全で有効なワクチン候補を利用できることが極めて重要です。これまでのデング熱ワクチンの開発、特にデングウイルスの感染歴がない人々を対象とする開発は困難を抱えていましたが、これらの結果から感染歴のない多くの被験者でもデング熱に対する予防効果が示されています。」

血清型別の効果について

TIDES試験では、4種の血清型すべてによって引き起こされたデングウイルス感染が観察されました。副次評価項目の探索的解析では血清型によって効果に差異が見られており、VEは1型で73.7%(95% CI:51.7%~85.7%)、2型で97.7%(95% CI:92.7%~99.3%)、3型で62.6%(95% CI:43.3%~75.4%)となっています。4型デングウイルスの感染例は少なすぎて、解析時に十分な有効性評価ができませんでした(VE:63.2%、95% CI:-64.6%~91.8%)。

探索的評価項目のさらなる解析では、1型および2型の両血清型について、ベースライン時に血清反応が陽性と陰性の被験者で同等の有効率が示されました。3型デングウイルスについては、ベースライン時に血清反応が陽性の場合におけるVEは71.3%(95% CI:54.2%~82.0%)でしたが、陰性の場合は確定的でないものの有効性が見られなかったことが示されています(VE:-38.7%、95% CI:-335.7%~55.8%)。4型デングウイルスの感染例は血清反応が陰性の被験者で観察されませんでした。

継続中の解析について

主要評価項目データの論文掲載プロセスで、武田薬品は実施中のTIDES試験における追加データを受領しました。これにより追跡期間が6カ月延長され、有効性の副次評価項目について正式な評価が可能になりました。主要評価項目の解析結果と副次評価項目の正式評価はいずれも、2019年11月20日~24日にメリーランド州ナショナルハーバーで開催される米国熱帯医学会(ASTMH)第68回年次集会にて発表することになっており、査読誌にも投稿します。

武田薬品のグローバル・ワクチン・ビジネス・ユニットのプレジデントを務めるRajeev Venkayya(MD)は、次のように述べています。「TIDES試験はアジアおよびラテンアメリカの広範な国々で、デングウイルス感染歴のない大規模な小児・若年層集団を意図的に含む研究集団を対象に、当社のデング熱ワクチン候補の性質を評価するものですが、当社はこの待ち望んでいたデータを公表できることに感激しています。TAK-003の安全性と有効性のプロファイルを完全に理解するにはさらなるデータが必要ですが、これらの知見はTAK-003があらゆる人々にとってのデング熱という世界規模の膨大な脅威への対処に貢献し得ることを強く示しています。今後さらなるデータを公表するとともに、保健当局や科学・公衆衛生・医療の関係方面に働きかけ、これらの知見に基づく対応、今後の証拠作りの優先順位付け、承認取得後の本ワクチンの提供範囲と影響力を最大化するための協力方法を検討していきたいと思います。」

第3相TIDES試験は継続中であり、特に3型デングウイルスでベースライン時の血清反応が陰性の被験者における有効性と安全性のプロファイルを決定するには、さらに長期のデータが重要となります。武田薬品は世界の保健専門家と関係を構築して、デング熱の流行地域におけるその脅威についての詳細な情報や本試験の解析結果をお知らせしています。武田薬品のデング熱ワクチン候補は現在、世界で承認されたところはありません。

第3相TIDES(DEN-301)試験について

二重盲検ランダム化プラセボ対照第3相TIDES試験は、小児・若年被験者で、4種の血清型のいずれかによって引き起こされ、検査で確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防で、TAK-003を2回投与した場合の安全性と有効性を評価する試験です1。被験者はランダム割り付けにより、試験1日目と90日目にTAK-003 0.5 mLまたはプラセボのいずれかを皮下投与されました1。試験は3つのパートで構成されています。主要評価項目の解析では、初回投与から15カ月後までのワクチンの有効性と安全性を評価しました(2回目の投与からは12カ月後)5。本試験のパート2ではさらに6カ月継続し、血清型、ベースラインにおける血清状態、重症度による有効性の副次評価項目の評価を行いました5。本試験の最終パートではさらに3年間被験者を追跡調査し、有効性および長期安全性の評価を行います。

本試験が実施されているのは中南米(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国、ニカラグア)とアジア(フィリピン、タイ、スリランカ)のデング熱流行地域にある施設です。これらの地域ではデング熱予防に対する未充足ニーズがあり、重症型デング熱が小児における重篤疾患および死亡の主因となっています1。血清状態別の安全性と有効性の評価を行えるよう、本試験に参加する被験者全員からベースラインにおける血液サンプルを採取しました。武田薬品および専門家から成る独立データモニタリング委員会は、積極的な安全性モニタリングを継続的に行っています。

武田薬品のデング熱ワクチン候補(TAK-003)について

武田薬品の4価デング熱ワクチン候補(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子「バックボーン」を提供する弱毒生2型デングウイルスをベースとしています6。小児および若年の被験者での第1相/第2相臨床試験のデータは、TAK-003が陽性、陰性のいずれの血清反応の被験者でもデングウイルスの4種の血清型すべてに対し免疫応答を誘導することを示し、また同ワクチンは全般的に安全で良好な忍容性を示しました1,2,3,4

デング熱について

デング熱は、蚊媒介ウイルス感染症として最も急速に拡大しており、世界保健機関によって2019年の「世界の健康に対する脅威トップ10」の1つに挙げられています7,8。デング熱は主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)と、程度は低いもののヒトスジシマカ(Aedes albopictus)が媒介します。4種のウイルス血清型のいずれによっても引き起こされ、いずれの血清型もデング熱または重症型デング熱を引き起こす可能性があります7。個々の血清型の罹患率は地理、国、地域、季節によって異なり、時間経過とともに変化します7,9。ある血清型のウイルスへの感染から回復した場合、その血清型に対してのみ生涯続く免疫を得ますが、後に他の血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクは高まります9

デング熱は流行しがちであり、熱帯と亜熱帯地域で流行が観察されており、最近では米国本土と欧州の一部でも流行しています7.10.11。現時点で世界人口の約半分がデング熱の脅威にさらされており、毎年世界全体で3億9000万人が感染し、2万人が死亡していると推定されています7,12。デング熱はあらゆる年齢層の人々が感染する可能性があり、中南米とアジアの一部の子供たちにとっては重篤疾患を引き起こす主因となっています7

武田薬品のワクチンに対する取り組みについて

ワクチンは、毎年200~300万人以上の生命を救い、世界の公衆衛生を変革しました13。武田薬品は過去70年間、ワクチンの提供により日本の人々の健康を守ってきました。現在、武田薬品のグローバルワクチンビジネスはデング熱、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も困難な感染症の一部を対象に、新機軸を取り入れた対策に取り組んでいます。当社チームはワクチンの開発製造とグローバルアクセスに関する傑出した実績と豊富な知識を生かして、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、ワクチンのパイプラインを前進させています。詳細についてはwww.TakedaVaccines.comをご覧ください。

武田薬品工業株式会社について

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置く価値立脚・研究開発型の世界的なバイオ医薬品のリーディングカンパニーとして、科学の成果を高度に革新的な医薬品へと橋渡しすることで、患者のために健康を改善してより明るい未来をもたらすことに真剣な努力を傾けています。武田薬品はその研究活動をオンコロジー、消化器系疾患、希少疾患、神経精神疾患の4つの治療領域に集中させています。また血漿分画製剤とワクチンにも重点的に研究開発投資を行っています。武田薬品は、新しい治療選択肢を掘り起こし、協業的研究開発の強化された原動力と能力を活用して、強固かつ多様な創薬手法のパイプラインを構築することにより、人々の生活を改善することに貢献する高度に革新的な医薬品の開発に傾注しています。当社の従業員は約80の国と地域で、患者の生活の質の向上と、医療分野におけるパートナーとの協力に傾倒しています。

詳細についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。

References

1 Sáez-Llorens X, Tricou V, et al. Safety and immunogenicity of one versus two doses of Takeda's tetravalent dengue vaccine: Interim results of a long-term phase 2, randomized, placebo-controlled pediatric trial in Asia and Latin America. Lancet Infect Dis. 2017;17:615-625. Retrieved October 2019.
2 Osorio JE, et al. Safety and immunogenicity of a recombinant live attenuated tetravalent dengue vaccine (DENVax) in flavivirus-naive healthy adults in Colombia: a randomised, placebo-controlled, phase 1 study. Lancet Infect Dis. 2014;14:P830-838. Retrieved October 2019.
3 Wallace D. Persistence of neutralizing antibodies one year after two doses of a candidate recombinant tetravalent dengue vaccine in subjects aged from 1.5 to 45 years. Presented at 64th Annual Meeting, American Society of Tropical Medicine and Hygiene; October 2016; Philadelphia, Pa.
4 Saez-Llorens X, et al. Phase II, double-blind, controlled trial to assess the safety and immunogenicity of different schedules of Takeda’s Tetravalent Dengue Vaccine Candidate (TDV) in healthy subjects aged between 2 and <18 years and living in dengue endemic countries in Asia and Latin America. Presented at 5th Pan-American Dengue Research Network Meeting; April 2016; Galveston, Texas.
5 ClinicalTrials.gov. Efficacy, Safety and Immunogenicity of Takeda's Tetravalent Dengue Vaccine (TDV) in Healthy Children (TIDES). 2019. Retrieved October 2019. (健康な小児における武田薬品の4価デング熱ワクチン(TDV)(TIDES)の有効性・安全性・免疫原性)
6 Huang CY-H, et al. Genetic and Phenotypic Characterization of Manufacturing Seeds for Tetravalent Dengue Vaccine (DENVax). PLoS Negl Trop Dis. 2013;7:e2243. Retrieved October 2019.
7 World Health Organization. Factsheet. Dengue and Severe Dengue. April 2019. Retrieved October 2019. (世界保健機関、ファクトシート、デング熱と重度デング熱)
8 World Health Organization. Ten threats to global health in 2019. 2019. Retrieved October 2019. (世界保健機関、2019年版「世界の保健に対する10の脅威」)
9 GuzmanMG et al. Dengue: a continuing global threat. Nature Reviews Microbiology. 2010;8:S7-S16. Retrieved October 2019.
10 KnowltonK, et al. Mosquito-Borne Dengue Fever Threat Spreading in the Americas. The Natural Resources Defense Council (NRDC). 2009. Retrieved October 2019.(天然資源防護協議会、米大陸で蚊媒介デング熱の脅威が拡大)
11 Chan E, et al. Using Web Search Query Data to Monitor Dengue Epidemics: A New Model for Neglected Tropical Disease Surveillance. PLoS Negl Trop Dis. 20115:e1206. Retrieved October 2019.
12 World Health Organization. Factsheet. Dengue. 2019. Retrieved October 2019.(世界保健機関、ファクトシート、デング熱)
13 UNICEF. Vaccination and Immunization Statistics. 2019. Retrieved October 2019.(UNICEF、2019年版「ワクチン接種・予防接種統計」)

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