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2021年10月4日 (月)
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JR-141は治療に変革をもたらす可能性がある薬剤で、タンパク質を脳内および末梢組織に送達し、静脈内投与でハンター症候群の神経障害症状と身体症状を治療できるように設計


武田薬品は、米国外(日本とアジア太平洋地域の一部を除く)で規制当局から承認を取得後、JR-141を当該地域で独占的に商業化

武田薬品は、グローバル第3相プログラムの完了後に、米国で商業化するための独占的ライセンスのオプション権を別途取得

大阪 & 兵庫県芦屋市--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(「武田薬品」)とJCRファーマ株式会社(TSE:4552)(「JCR」)は本日、JR-141(国際一般名[INN]:パビナフスプアルファ)の商業化に向け、特定地域における独占的な共同開発およびライセンスの契約を締結したと発表しました。JR-141は、抗ヒトトランスフェリン受容体抗体とイズロン酸-2-スルファターゼ(IDS)酵素の次世代組み換え融合タンパク質で、ハンター症候群(ムコ多糖症2型またはMPS IIとしても知られている)の治療薬として開発中の治験薬です。ハンター症候群は、IDSの欠損によって引き起こされる疾患で、さまざまな病型があります。JCR専有の血液脳関門(BBB)通過技術であるJ-Brain Cargo®を適用したJR-141は、治療効果を持つ酵素が血液脳関門を通過して脳に直接到達し、ハンター症候群の身体症状と、認知機能低下の進行につながる神経障害症状の両方に働きかけるように設計されています。

武田薬品は今回の独占的な共同開発・ライセンス契約の条件に従い、米国以外のカナダ、欧州、その他(日本と一部のアジア太平洋諸国を除く)の地域におけるJR-141の商業化を独占的に行います。JCRは、米国外のライセンス契約に対する前払い金を受領し、さらに開発と商業化の進捗に応じたマイルストーン払いと、将来発生すると見込まれる売上高に対し段階的に料率が設定されたロイヤルティーを受け取る権利を取得します。両社は、JCRが実施するグローバル第3相プログラムの完了後、本治療薬を可能な限り速やかに患者さんに届けられるよう連携していきます。

武田薬品は、別途締結したオプション契約に従い、第3相プログラムの完了時に米国におけるJR-141の商業化についての独占的ライセンスを取得できるようにするためのオプション権を取得します。

武田薬品の希少遺伝性・血液疾患領域ユニットヘッドを務めるダン・カラン(M.D.)は、次のように述べています。「武田薬品は、ハンター症候群の治療法を継続的に改善することに傾倒しています。JR-141は、血液脳関門を超えてタンパク質を送達する新しい方法を導入することで、ハンター症候群の背景にある神経障害症状を治療し、これら患者さんの認知機能の維持や改善に貢献するという現在の課題を克服します。当社はJCRと密接に連携し、酵素補充療法における専門知識を適用して、ハンター症候群の治療に変革をもたらす可能性がある本治療薬をできるだけ早く患者さんにお届けしたいと希望しています。」

JCRの代表取締役会長兼社長の芦田信氏は、次のように述べています。「JCRは、JR-141がもたらす影響を最大化するという共通の目標を達成する上で有利な立場にある武田薬品と契約を締結できてうれしく思います。当社の使命は、ハンター症候群など中枢神経系症状があるリソソーム蓄積疾患(LSD)の患者さんに、画期的な治療選択肢をできるだけ早くお届けすることです。JR-141は、血液脳関門を通過するバイオ医薬品として日本で初めて承認を取得した医薬品です。武田薬品との提携を通じて、世界中のハンター症候群の患者さんに、この新しい治療選択肢をできるだけ速やかにお届けすることで、この使命を果たすことができると期待しています。」

JR-141は、日本における非盲検第2/3相臨床試験で主要評価項目を達成し、治療開始52週間後に評価を実施できた被験者のすべてで、脳脊髄液中のヘパラン硫酸(HS)濃度の有意な減少を示しました。HS濃度は、中枢神経系で疾患を引き起こしている基質の低減について、医薬品の効果を評価するバイオマーカーです。標準的な酵素補充療法(ERT)から本剤に切り替えた患者では、身体症状のコントロールが維持されました。本試験では、本試験の参加前に標準的なERTを受けていなかった患者における身体症状の改善も認められました。また神経認知機能の発達度評価では、1年後に25人中21人の患者で年齢相応の機能の維持または改善が認められました。本試験では、重篤な治療関連有害事象の報告はありませんでした1

JR-141について

JR-141は、抗ヒトトランスフェリン受容体抗体と、ハンター症候群の患者さんで欠損しているか活性が低下している酵素であるイズロン酸-2-スルファターゼの組み換え型融合タンパク質です。JR-141は、JCR専有の血液脳関門通過技術であるJ-Brain Cargo®を用い、トランスフェリン受容体を介したトランスサイトーシスを通じて血液脳関門を通過させることで、神経障害症状に対する効果を発揮すると期待されています。細胞への取り込みは、トランスフェリン受容体とマンノース-6-リン酸受容体を介して行われます。JCRは、分子設計の段階から非臨床試験および臨床試験の段階まで、必要な証拠を構築しながら開発を進めてきました。JCRは非臨床試験で、JR-141がトランスフェリン受容体に対して高い親和性を示すことを確認するとともに、JR-141が血液脳関門を通過して神経細胞へ到達することを電子顕微鏡下で確認しています。

JCRはまた、J-Brain Cargo®技術を用いることで、酵素が各脳組織に取り込まれることを確認しました。ハンター症候群の動物モデルで、蓄積基質が減少することも確認しています2,3,4。JCRはJR-141の幾つかの臨床試験で、中枢神経系の病変を引き起こす基質に対する本剤の有効性を評価するバイオマーカーであるヘパラン硫酸濃度の低下を示す証拠を獲得し、これは非臨床試験で得た結果と一致していました。JCRは、神経認知機能に対するJR-141の良好な効果を示す臨床結果も得ています5,6,7,8

JR-141は、厚生労働省より承認を取得し、「イズカーゴ®点滴静注用10mg」の販売名で2021年5月より販売しています。

ハンター症候群について

ハンター症候群はまれなリソソーム病の一種で、体内のグリコサミノグリカン(GAGs)と呼ばれる物質の分解に必要な酵素であるイズロン酸-2-スルファターゼの欠損により生じる重度の消耗性疾患です9。この酵素がない場合、GAGsが蓄積し、疾患と関連したさまざまな症状や兆候が現れます9,10。またハンター症候群の患者の約3人に2人は、進行性の認知機能低下を発症します11。ハンター症候群は、生産児の16万2000人に1人の割合で現れ、ほぼ全例が男児です12

武田薬品工業株式会社について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、患者さん、従業員、そして地球に対する約束に従って、人生・生活を変える治療薬を創出し、お届けすることに傾倒しています。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少な遺伝性疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国・地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。詳細情報についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。

JCRファーマ株式会社について

JCRファーマ株式会社(TSE 4552)は、希少疾患および遺伝性疾患を持つ世界中の患者さんの期待に新たな形をもたらし、可能性を広げる世界的なスペシャリティーファーマです。当社は、日本で46年間にわたり事業を積み上げてきた歴史があり、米国、欧州、ラテンアメリカでの展開地域を拡大しています。当社は、その科学的な専門知識と独自の技術を適用し、次世代の医薬品を研究・開発・提供することで、患者の生活を向上させます。日本で承認を取得した当社製品には、成長障害、ファブリー病、急性移植片対宿主病、腎性貧血の治療薬が含まれます。世界各地で開発を進めている当社の治験薬は、ムコ多糖症I型(ハーラー症候群、ハーラー・シャイ症候群、シャイ症候群)、ムコ多糖症II型(ハンター症候群)、ポンペ病などの希少疾患の治療を目的としています。JCRは、患者にとっての可能性を広げるとともに、世界規模で医療の進歩を加速すべく、懸命な努力を傾けています。信頼、自信、信念という当社のコアバリューは、従業員、提携先、患者を含むすべての関係者に利益をもたらすものです。「ともに未来へ飛翔する」(Together we soar.)。詳細情報についてはhttps://www.jcrpharm.co.jp/en/site/en/をご覧ください。

留意事項(武田薬品)

本留意事項において、「プレスリリース」とは、本資料(添付資料及び補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本プレスリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本プレスリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国1933年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本プレスリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。

武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本プレスリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品およびその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、usおよびour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本プレスリース及び本プレスリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「保証する(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想されるanticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語、同様の表現、それらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではございません。かかる将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する仮定に基づいており、これらの要因は実際の結果が将来見通し情報で明示ないし暗示された内容と著しく異なる場合の原因になり得るものです。これらの要因には、日本と米国の一般的な経済条件を含む当社の世界的な事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功の不確実性および規制当局による判断とその時期を含む新製品開発に固有の問題、新製品および既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難または遅延、金利及び通貨為替レートの変動、市場で販売された製品または製品の安全性または有効性に関するクレームまたは懸念等、新型コロナウイルスの世界的流行病のような健康危機が武田薬品ならびにその顧客およびサプライヤー(武田薬品が営業する国々における外国政府を含む)に及ぼす影響や当社事業のその他の面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、武田薬品が米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び他の報告書(https://www.takeda.com/investors/sec-filings/又はwww.sec.govにおいて閲覧可能)で指摘したその他の要因が含まれますが、これらに限られません。武田薬品は、法律ないし証券取引所規則で要求される場合を除き、本プレスリリースに含まれる、または当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本プレスリリースにおける武田薬品の経営結果ないし記述は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証、見積もりではありません。

JCRファーマの将来見通しに関する記述について注意事項

本文書には将来見通しに関する記述が含まれています。これらの記述は既知または未知のリスクおよび不確実性の影響を受けるものであり、その多くは当社による制御が及びません。将来見通しに関する記述は多くの場合、「考える」、「見込む」、「予想する」、「意図する」、「計画する」、「するつもりである」、「であろう」、「目標とする」などの単語や将来の期間に対する同様の言及が含まれています。当社の計画、展望、戦略、今後の事業、財務成績、財務状況の将来見通しに関する記述はいずれも、現時点で当社が入手可能な情報から導かれた判断に基づいています。実際の結果が当社の将来見通しに関する記述で表現された内容と著しく異なる場合の原因となり得る要因や出来事には、経済状況の悪化、法律・行政の変化、新製品上市の遅れ、競合他社の価格設定や製品戦略の影響、当社製品に関連するマーケティング能力の低下、製造上の問題または遅延、当社の知的所有権に対する侵害、重要な訴訟における当社に不利な判決、規制措置が含まれますが、これらに限定されません。

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法律で要求される場合を除き、将来において新たな情報が得られた場合でも、当社はこれらの将来見通しに関する記述を更新したり、実際の結果が著しく異なる場合の原因となり得る要因を更新したりする義務を負いません。

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