- HMTMは、アルツハイマー病の根本的な疾患プロセスの修正と進行遅延を目的とした早期介入用に設計された薬剤
- HMTMは、約3000人の被験者が参加した臨床試験で良好な安全性プロファイルを示し、アミロイド関連の画像異常リスクに増加が見られない
- HMTMは、アルツハイマー病の治療において、検査と治療モニタリングを最小限に抑える、初の経口抗タウ治療薬となる可能性がある
ABERDEEN, Scotland--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --アルツハイマー病(AD)におけるタウベース研究の世界的リーダーであるTauRx Pharmaceuticals Ltd.は、メシル酸ヒドロメチルチオニン(HMTM)の第III相LUCIDITY試験における24か月のデータを、ポルトガルのリスボンで開催中の「AD/PD™ 2024 Alzheimer's & Parkinson's Diseases Conference」で発表しました。
新たに発表された24か月間のデータは、早期から中等度の認知症の疾患スペクトラムで、持続的な効果を示しています。LUCIDITY試験参加者を、適合するリアルワールドのデータおよびメタ分析による対照群と比較した分析では、同試験参加者の疾患進行が有意に抑制されたことが示されました。加えて、初期の疾患サブグループでは、ADの認知症段階への移行が有意に減少しました。
HMTMは、ADにおけるタウ病態を軽減するように設計された、タウ凝集阻害剤です。LUCIDITY試験では、HMTMを1日16mg投与した早期から中等度のAD患者について、12か月間にわたる標準的な認知力および機能アウトカムと脳容積の減少を対照群と比較し、その後の12か月間で全員に1日16mgのHMTMを投与する非盲検化相試験を実施しました。昨年発表された血液ベースのバイオマーカーデータによると、HMTM16mg/日の投与により、対照群と比較してニューロフィラメント軽鎖(NfL)の血中濃度の変化が95%減少しました(p=0.0291)。血中NfLは脳の神経変性進行の指標となります。
今回発表されたデータにより、HMTM16mg/日を投与されたAD初期段階の参加者は、18か月までベースライン値を有意に上回る状態を維持し、24か月後にようやくベースライン値に戻りました。このサブグループでは、認知症段階への症状の進行が対照群より有意に少なく、同サブグループの解析をさらに進めた結果、対照群は、12か月後に非盲検化相で16mg/日投与に切り替えたものの、ベースラインからの有意な低下が見られました(疾患初期のより正確な指標であるADAS-Cog13で観察された症例の差については、p=0.0308です)。
この結果について、TauRx社のCEO兼会長であるクロード・ウィシック教授は「新しいデータから、HMTMの有用性は24か月以上継続する可能性があることがわかり、HMTM治療を疾患の初期段階から開始することの重要性が浮き彫りになりました。この結果は、HMTMが2つの独立した作用機序(脳内のタウ凝集病態の抑制と第2の症候性活動)を併せ持つことを示した以前の試験結果とも一致しています。HMTMの血中濃度が、12か月にわたって非定型的なプロファイルを示し、非常に低用量でも症状改善作用が十分なレベルに達することを発見できたことは嬉しい驚きです。
HMTMがADの根本的なタウ病態に影響を与えるという強力なエビデンスがあります。今回の結果を、Alzheimer's disease Neuroimaging Initiative1データベースや、同様の患者集団を対象とした複数のAD試験のプラセボ群から得られたメタ分析対照のような、自然経過のリアルワールドデータと比較した結果、HMTMの有益性を支持する、認知的・機能的アウトカムにおける統計学的に有意な差が認められました2。強力な安全性プロファイルと経口投与薬による簡便性により、HMTMは患者様や医師のみなさんにとって、これまでにない潜在的な治療選択肢となるでしょう」と述べています。
マンチェスター大学の老年精神医学名誉教授であり、英国の国立認知症臨床ディレクターも務めたアリスター・バーンズ教授は、「アルツハイマー病治療の分野で、最もエキサイティングな時期がやってきました。過去10年間、新しい治療法が見つかりませんでしたが、現在はタウを標的とした経口療法など様々な新しい治療法が登場し、病気の進行を遅らせる可能性が出てきました。これはアルツハイマー病の患者様、そのご家族、介護者のみなさんにとって素晴らしいニュースです」と述べています。
共有されたデータによると、HMTMは幅広い層への適用が期待され、新たな治療選択肢への公平なアクセスに貢献できます。TauRxは、英国および米国において、製品承認に向けて規制当局との交渉を開始しました。HMTMの商業化を拡大する計画に従い、他地域でも展開する予定です。
詳細については、https://taurx.com/またはhttps://adpd.kenes.com/をご覧ください。
参考資料:1. ADNI https://adni.loni.usc.edu/ 2. ADAS-Cog11における差異のP値は、24か月後でp=0.035でした。HMTM治療群の結果をADNI対応群と比較した結果、24か月後の全脳容積MRIのp値は0.004でした。18か月間にわたり、HMTM治療群と他試験のプラセボ群と比較した結果、P値の結果はすべてp<0.0001でした。
アルツハイマー病におけるタウ病理学
専門の研究プログラムを通じて、ある加齢関連の要因がタウタンパク質のミスフォールディングと凝集を引き起こし、アルツハイマーにおけるその後のタウタンパク質のもつれの形成につながることが理解されています。タウタンパク質の病理学的凝集は神経機能を破壊し損傷します。このプロセスは認知症の症状が現れる何年も前から始まります。タウ病態は、アルツハイマー病患者によく見られる臨床的機能低下(記憶の喪失や自分自身をケアする能力の喪失)と相関することが証明されており、治療の重要なターゲットとされています。HMTMは主にタウ凝集害剤であり、血液脳関門を効果的に通過し、有害なプロセスの発生源をターゲットとします。この二次的な薬理作用は、脳の記憶機能に不可欠な部分のアセチルコリンレベルを上昇させることによってその症状を示します。
LUCIDITYについて
2023年6月に終了したLUCIDITYは、二重盲検無作為化対照第III相臨床試験で、HMTM投与量16mg/日、8mg/日、対照として塩化メチルチオニニウム(MTC)投与量4mg/週2回を4:1:4で無作為に割り付け、12か月間にわたり、認知、機能、脳萎縮について変化を比較し、その後12か月間では、参加者全員に16mg/日を投与する、非盲検継続投与試験を実施しました。対照群にはMTC8mg/週を投与し、薬剤の無害な副作用として知られるわずかな尿の着色について、試験の盲検化を維持しました。ADAS-Cog11、ADCS-ADL23、全脳容積MRIの測定は、ベースライン時と比較して12か月後と24か月後に実施しました。
TAURx PHARMACEUTICALS LTDについて
TauRxは2002年にシンガポールで設立され、主要な研究施設と事業は英国のアバディーンに拠点を置いています。同社は過去20年間、タウやその他のタンパク質の病理学的凝集に起因するアルツハイマー病やその他の神経変性疾患の治療法と診断法の開発に専念してきました。
アルツハイマー病は、世界中で障害と死亡の主な原因となっており、最も重要なグローバル公衆衛生問題の1つです。TauRxは、LUCIDITYからのデータを活用してこの満たされていないニーズに対処し、アルツハイマー患者がHMTMを使用できるようにする全体的な計画に沿って、規制当局の承認を得るよう取り組んでいます。関連するその他の神経変性疾患についても、将来的な研究が計画されています。https://taurx.com/
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